『色をつける』
色をつけることだけを目的にすると、
視覚を通して認識できる情報としてのカタチの色が、
機械的に作られていく。
色が持つ力は、人の心に作用することなく、
脳が受ける刺激のひとつとして、
物から人への一方的な刺激として量産されていく。
光源の違いや表層の変化で、色は刻々と変化する。
私の日常にある、日々量産される数々の色の違いを、
私の体が、どれだけ細かく識別できているのかはわからない。
だが、その一つひとつの色の微妙な違いに、
私の中の複雑で曖昧な心の感覚が反応し、
美しい、爽やか、やすらぐ、
似合う、似合わない、好き、嫌いなど、
その一つひとつの感情と結びついていくような気がする。
色は、光を共有する人と物との間で、
一方的ではない相互の関係を作り上げている。
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「はじまりのいろ」は、一本ずつ染め上げた色違いの刷毛です。
作為なく混ぜ合わせた色の染料液に一本の刷毛を浸して製作しています。
一本を染めて薄くなった染料液に、新たに別の色の染料を加え、 また新しい次の刷毛を染めていきます。
これを繰り返し、その一本にしかない色に染められた新しい刷毛ができあがっていきます。
刷毛として、絵の具を塗り重ねていく道具や、埃を払う道具として使うこともできますが、
その時の気持ちをあらわした色のカタチとして、
生活の中に置き場所を見つけてあげるのも素敵です。