Project

Living Design Award 2017 / Trophy

THE UNIVERSITY OF SHIGA PREFECTURE School of Human Cultures Department of Living Design
/ 2018


少量ずつ繰り返し充填されたモルタルは、円筒の型の形にとどまりながらも、空洞や液だれ、色のムラなど、一つひとつの個性を備えている。
手に取るとずっしりと重く、強固なようで所々に繊細さと弱さがある。

練られたてのモルタルはまだ脆く、月日を経てゆっくりと、その素材が持つ本来の強度へと向かっていく。

トロフィーは、受賞者がはじめて手にするその瞬間に、「モノ」がもつ感覚を通して、その賞の価値と意味を伝えるような気がしている。

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『それぞれの時を感じる』

滋賀県立大学 生活デザイン学科 20期生 卒業制作優秀者 3名に授与されたトロフィー。

モルタルのトロフィーの内部には、砂時計が埋設してある。砂時計は、受賞者がこれから進み出す新しい時の可能性のカタチとして埋め込みたいと思った。眼で見て確かめることのできない時は、経過した時間も、残りの時間も、今動いているのかさえもわからない。動き出すきっかけ以外は、それぞれが持つ想像力を信じて歩み進んでいってほしい。受賞式の場で砂時計が動き出すよう、収納箱には上下逆さまに収納しておくことにした。

受賞者の功績を讃えるためだけでなく、卒業制作という大きな仕事を成し遂げた仲間と恩師の方々が、ひとつの時間を共有できる道具になればと願う。

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円筒形の型の中心に砂時計を設置し、その隙間にモルタルを充填して製作している。 一度に流し込むのではなく、少量ずつ充填と硬化を繰り返し、時に無造作に投げ入れることで、3体それぞれが気泡やムラなどの一つひとつ異なる表情を持つよう計画した。砂時計の空洞はモルタルの重量問題も解決している。
中央には、受賞者の名前をエッチングで刻印した黄銅のリングを埋め込んでいる。素地のままの黄銅は、モルタルから生じる水酸化ナトリウムでアルカリ焼けを起こし、黒く変色しながら独特の色合いと表情に変化している。
収納箱は、ボイド管として使われるφ125mmの紙筒を採用。表面をサンディングし、ザラつきと温かみのある質感を加え、底面はポリウレタン樹脂を注入して製作している。表面のスパイラルに合わせて受賞者の氏名とタイトルを熱転写で印字した。

砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
円筒の収納箱
エッチングした真鍮リング
気泡やムラ
印字
発泡ポリエチレンの蓋
樹脂を流し込んだ底面
持ち帰り用のキャンバスバッグ
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー

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//Plan

砂時計を埋設したモルタルのトロフィー

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//Process

砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー
砂時計を埋設したモルタルのトロフィー